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ぬいぐるみやおもちゃのタグやパッケージで、「ST」と書かれたマークを見たことはありませんか。これは一般社団法人日本玩具協会の「STマーク」です。推しぬいを選ぶとき、小さな子どもへのプレゼントを選ぶとき、このマークが何を意味しているのかを知っておくと、パッケージの見方が少し変わります。
この記事では、日本玩具協会の公式ページ(STマーク制度の手引き、STマーク表示の案内、よくある質問)と、同協会の「玩具安全基準・玩具安全マーク制度要綱」だけをもとに、STマークの仕組みを整理しました。
※制度の内容は基準の改訂などで変わることがあります。購入の際は、商品のパッケージ表示と日本玩具協会の公式情報もあわせて確認してください。
STマークの基本
STマークとは
STマークは、日本玩具協会が定めた玩具安全基準(ST基準)に適合したおもちゃに表示されるマークです。日本玩具協会の案内では、STマークは同会の登録商標であり、同会と使用許諾契約を締結していないと使用できない、とされています。
制度要綱では、協会は「子どもの生命又は身体に対する危害の発生を防止するため」に玩具安全基準を定める、とされています。また、ST基準に適合した玩具の普及を促進し、消費者の安全・事故の補償を確保するために、玩具安全マーク制度を実施する、と書かれています。
制度は3つの柱でできている
日本玩具協会の手引きでは、STマーク制度は次の3つから成り立っている、と説明されています。
| 柱 | 内容 |
|---|---|
| 基準とマークの管理 | 玩具安全基準(ST基準)の作成、STマークの管理 |
| 検査 | ST基準適合検査の実施(検査機関) |
| 補償 | 事故の際の賠償補償制度 |
制度に参加する事業者は、日本玩具協会とSTマーク使用許諾契約を締結し、STマークを付けようとする玩具について、協会が指定する検査機関で、ST基準によるサンプル検査を受けます。検査に合格した玩具について、STマークの表示が認められます。
つまり、STマークは「メーカーが自分で付けられるマーク」ではなく、契約と検査を経たおもちゃに表示されるマークということです。
STマークの3つの検査
日本玩具協会の手引きでは、玩具安全基準「ST 2016」に基づいて、3つの項目について検査をしている、と説明されています。
1. 機械的および物理的特性の検査
おもちゃの形状や強度に関する検査です。手引きでは、次のような検査例が紹介されています。
- おもちゃの先端が鋭くないか:おもちゃの先端を棒状のテスターに当てて調べ、テスターが赤く点灯すると、先端が鋭くケガをする恐れがあると判断されます。
- 子どもの喉に届かないか:幼児向けのおもちゃの検査で、円形の穴のあいた試験器具を、おもちゃやその一部が通過しないかを調べます。通過してしまうと、のどを詰まらせる恐れがあると判断されます。
2. 可燃性の検査
ぬいぐるみに特に関係が深いのが、この検査です。手引きでは、表面がパイル地または布で作られている柔らかい「ぬいぐるみ」や、玩具のテント・家、そのほか子どもが身に着けるものについて、使用してはいけない材料(セルロイド等)が使われていないか、また燃えやすい材質ではないかを調べる、とされています。
3. 化学物質の検査
おもちゃの材料に有害な物質が使われていないかを調べる検査です。手引きでは、厚生労働省が定める食品衛生法の基準のほか、EN71(ヨーロッパの玩具安全基準)なども検査項目として取り入れている、と説明されています。
3つの検査のまとめ
| 検査 | 見ているところ | 主な例 |
|---|---|---|
| 1. 機械的・物理的特性 | 形状や強度 | 先端の鋭さ、喉に詰まる大きさ |
| 2. 可燃性 | 材料と燃えやすさ | ぬいぐるみ、玩具のテント・家、身に着けるもの |
| 3. 化学物質 | 有害な物質 | 食品衛生法の基準、EN71など |
ぬいぐるみは、形(目や鼻などのパーツ)、布や綿の燃えやすさ、材料の化学物質という3つの面から確認されるおもちゃだとわかります。
対象になるおもちゃと対象年齢
14才未満の子ども向けのおもちゃが対象
日本玩具協会の手引きでは、玩具安全基準は対象年齢が13才までの子供用玩具に適用される、とされています。基準(第1部)は、14才未満の子供の遊び用に設計され、または明らかにそれを意図した全ての玩具に適用する、と書かれています。
さらに、次の品目も玩具として適用される、とされています。
| 玩具として扱われる品目 |
|---|
| おしゃぶり・歯固め |
| クリスマス用品・ハロウィーン用品等 |
| 遊びの要素のある携帯電話ストラップ |
| テレビに連結して使用するビデオ玩具 |
対象にならないもの
一方で、ST基準では玩具とみなさず、適用対象としない品目も示されています。手引きに挙げられている例の一部は次のとおりです。
- 500ピース以上から成るパズル、及び絵柄のない高度なパズル
- 完成品に主たる遊びの価値のない、模型キット、ホビー・手工芸品(作成過程に遊びの価値のあるものを除く)
- スポーツ用品・用具、キャンプ用品、楽器、家具(玩具に相当するものを除く)
- 花火、雷管
- 子供向けの装飾用ジュエリー(遊びの要素のあるものを除く)
また手引きでは、ST制度ではST基準への適合だけでなく、差別・虐め、猥褻、動物虐待、麻薬・薬物使用、入墨、喫煙・飲酒誘因といった要素のものは適用対象外とする、とされています。なお、基準の改訂などにより適用範囲も変更になることがある、と注意書きがあります。
対象年齢の表示
手引きによると、玩具安全基準は「すべての玩具には、その包装上に対象年齢を表示しなければならない」として、STマークを表示する商品には、その商品を使用するのにふさわしい年齢の表示を義務付けています。これは、玩具で遊ぶうえでの安全のためのもの、と説明されています。
ぬいぐるみの対象年齢の考え方
日本玩具協会の「よくある質問」では、ぬいぐるみの対象年齢について、次の4点で判断すると回答されています。
| 判断のポイント |
|---|
| 合理的な根拠に基づいていること |
| 広告において意図されている対象年齢に矛盾しないこと |
| 類似する他の製品に設定された対象年齢の下限を上回らないこと |
| 一般消費者が合理的に推測できる対象年齢の下限を上回らないこと |
そのうえで、全ての「ぬいぐるみ」が「対象年齢0才から」ということではない、とされています。ISO/TR8124-8の使用開始最低年齢ガイドラインでも、サイズ・詳細・実物度合・ブランド・ライセンス等を考慮して対象年齢を設定できるようになっている、と説明されています。
大人のファン向けの推しぬいと、赤ちゃん向けのぬいぐるみでは、対象年齢の表示が違うことがあります。小さな子どもに渡すときは、パッケージの対象年齢を見ておきましょう。
表示までの流れと有効期間
STマーク表示までの流れ
日本玩具協会の「STマーク表示」の案内では、表示までの流れが次のように示されています。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| STマーク使用許諾契約 | 契約手続が完了していないと検査が受検できない |
| 型式による検査 | 当該製品1点と検査申請書が必要 |
| 合格 | マークを表示した商品の出荷が可能になる |
契約期間と表示の有効期間
同じ案内では、契約期間は契約日より1年間で、STマークを表示した商品が流通している間は毎年契約の更新手続が必要、とされています。
検査に合格すると、2年間STマークを表示することができます。2年経過後も引き続き表示製品を出荷する場合は、改めて検査を受けて合格することを確認するよう案内されています。また、有効期間内であっても、契約更新手続を怠るとマークの表示はできない、とされています。
事故が起きたときの補償
共済制度への加入が義務
手引きでは、STマーク付玩具で万一事故が起こった場合に、被害者に対して必要な賠償等を行えるように、企業が支払う損害賠償に対する補償制度を設けている、と説明されています。STマーク使用許諾契約を締結する事業者は、協会が運営する共済制度への加入が義務付けられています。
2つの共済
STマーク表示の案内では、2つの共済が紹介されています。
| 共済 | 内容 | 補償額の限度 |
|---|---|---|
| 玩具賠償責任補償共済 | 事故被害者への賠償・見舞金等に支出した費用を補てん | 対人1人1千万円、見舞金10万円 |
| 玩具製造物責任補償共済 | 平成7年のPL法施行にあわせ、生産物責任保険を組み合わせたもの | 対人1人1億円、対物2千万円 |
制度要綱では、STマークを付した玩具の欠陥に起因して起きた事故の処理は、STマーク使用許諾契約者が協会と連携をとってあたる、とされています。
子供PSCマークとの関係
乳幼児用玩具の新しい制度
日本玩具協会の「よくある質問」は、改正「消費生活用製品安全法」への対応として、経済産業省に確認済みの回答を掲載したもの、とされています。そこでは、令和7年12月25日の施行日以降に製造または輸入した乳幼児用玩具について、届出を行い、技術基準適合確認等の義務を履行した場合に、子供PSCマークを表示することができる、と説明されています。
施行日より前に既に製造または輸入され在庫品となっている製品は、経過措置により規制対象から除外されている、とされています。
STマークとの違い
同じ「よくある質問」では、子供PSCマークとSTマークは、それぞれに必要な手続きがある、と回答されています。
| マーク | 表示の条件(よくある質問の説明より) |
|---|---|
| 子供PSCマーク | 消費生活用製品安全法に基づく事業届出のうえ、技術基準への適合を確認し、対象年齢等の必要な注意表示も行う |
| STマーク | 日本玩具協会と使用許諾契約を結び、指定の検査機関で検査を受け、ST基準に適合していることが確認された玩具に表示 |
また、乳幼児用玩具への対象年齢の表示では、外国語や数字・記号のみからなる表示(「1+」「2+」など)は、国内の一般消費者が容易に理解できる方法には当たらない、とされています。
STマークのよくある質問
STマークは誰でも付けられる?
いいえ。STマークは日本玩具協会の登録商標で、使用許諾契約を結び、指定検査機関の検査に合格したおもちゃに表示が認められる、とされています。
大人向けのぬいぐるみも対象?
ST基準は、14才未満の子供の遊び用に設計され、または明らかにそれを意図した玩具に適用される、とされています。対象年齢の考え方は、商品ごとに判断されます。
一度合格すればずっと表示できる?
検査合格から2年間表示でき、それ以降も出荷を続ける場合は改めて検査を受けるよう案内されています。契約も毎年の更新が必要です。
STマークの3つの検査を知って選ぼう
STマークは、日本玩具協会と契約した事業者のおもちゃが、指定検査機関で「機械的・物理的特性」「可燃性」「化学物質」の3つの検査に合格したことを示すマークです。さらに、事故の際の補償制度も組み合わされています。
ぬいぐるみを選ぶときは、STマークの有無とあわせて、パッケージの対象年齢も見ておきましょう。